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熊本県へき地医療医師の会
会長 春 口 洋 賜 先生
私は、このたび「熊本県へき地医療医師の会」会長の大役をお引き受けすることになりました。自治医大第一期生です。この会は、県内のへき地等を中心とした、地域住民に質の高い医療を提供し、その地域の保健、医療、福祉の発展に寄与することを目的として設置されました。新設された熊本県へき地医療自治体病院開設者協議会(「開設者協議会」)と連携しながら、「医師の会」の立場で事業を行うことになります。構成メンバーは、開設者協議会に所属する医療機関に勤務する医師や 会員の認める医師、へき地医療に関係ある医師となっています。
下記が主な事業になります。
① 所属会員の意見集約や異動に伴う調整
② へき地医療研修を行う医学生、研修医への積極的支援
③ 熊大地域医療システム学講座や地域医療振興協会熊本県支部・自治医科大学熊本県人会などと協力体制をとり、へき地医療のシステムづくりを進める
このような会の設置に至った(設置せざるを得なかった)背景には、熊本県の自治医大卒業生の義務明け後の県内定着率が全国ワースト1~2位という実状があったからです。新臨床研修医制度の影響で、へき地医療機関の医師数が減ってしまったことも関係していると思います。医師個人の奉仕の精神、自己犠牲の上に立った献身的なへき地医療は、もはや成り立たなくなってしまいました。
へき地の医療機関で独自に行う医師の招聘作戦には、地理的、あるいは環境的悪条件のため限界があることは確かです。場合によっては、ある一定期間へき地医療機関の勤務を義務づけるなど、強制力を持った規律を設けることも必要かもしれません。ただ、へき地医療機関自身も単に医師を募集するだけでなく、その地域の医療機関の魅力や特色をPRし、またターゲットにする医師を絞った募集方法を検討することも必要かもしれません。今回の「医師の会」設置を契機に医師本人や、家族、 同僚が情熱を持ってへき地医療に取り組めるシステムの構築ができればと願っております。
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