病院について

院長挨拶

髙森 啓史
球磨郡公立多良木病院企業団
院長兼企業長
髙森 啓史

 球磨郡公立多良木病院企業団は、上・中球磨4町村(多良木町、あさぎり町、湯前町、水上村)によって開設された球磨医療圏唯一の自治体病院です。

 先達の方々のご努力ならびにご尽力により、現在、病院の他に、総合健診センター・在宅医療センター・訪問看護ステーション・病児/病後児保育施設・介護老人保健施設・上球磨地域包括支援センター・居宅介護支援事業所が併設された企業団となっています。地域において「健診事業・予防医療」、「24時間体制の救急医療」、「急性期から在宅までのシームレスな包括的医療」を実践しています。当院は当圏域唯一の二次救急病院です。人口減少が顕著に進んでいますが、救急車搬入数は増加傾向であり、2023年には1,472件と2005年以降では2番目に多い件数でした。当圏域における救急車搬送の86%を受け入れて、地域の付託に応えています。また、昨年度は医療DX(デジタルトランスフォーメーション)に対する取り組みとして、企業団内の老人保健施設(シルバーエイト)と当院が医療を担っている無医地区にある槻木診療所(多良木町)と古屋敷診療所(水上村)にも電子カルテの導入が終了し、医療や介護の情報共有が可能となり、シームレスな包括的医療が効率的に実践できるようになりました。

 2024年4月から医師の働き方改革の新制度が始まりました。医師の働き方改革は2040年を展望した医療提供体制の改革であり、「地域医療構想」「医師偏在対策」とともに三位一体の改革のひとつと位置づけされています。これまで当たり前に行われてきた医師の長時間労働を是正して、①医師の健康を確保し、②医療の質や安全を確保し、③将来にわたって持続可能な医療体制を維持することが謳われています。一方、昨今の地域医療における医療・介護スタッフの労働力不足は深刻であり、医師に限らず全職員に対して働き方改革を推進する必要があります。医師の働き方改革は全ての医療従事者の労務環境改善への良い機会だと考えて、職種ごとに働き方や業務内容を見直し、省ける業務を積極的に削りながら、専門職が専門に特化した働き方を目指したいと考えています。全職種においてタスクシフト・シェアを創意工夫し、職種間では互いに「委譲した仕事を引き受けてくれて有難う」という感謝の気持ちを持って、チーム医療を実践していくことが大切だと思います。さらには、男女共同参画・ライフイベントに対応できる職場、そして価値観の多様性を認めあい、公正性を保つ職場作りを目指していきます。ただ、働き方改革を推進していく上で最も重要なことは、「今までこのようにやってきたから」という概念に囚われない職員一人ひとりの意識改革にあると考えています。そして、働きやすさと働きがいが実感できる職場づくりを目指したいと思います。

 当院企業団の基本理念は、「ひとと社会を診る医療・福祉を実践して、地域社会に貢献します」です。高齢化が進み、また価値観が多様化する中で、患者さんの選択や患者さん・ご家族のお考えを礎として、「治す医療」と「支える医療・福祉」を継続して実践してまいります。医師会の先生方、行政、介護事業所そして地域住民の皆様と共にOne Teamとなって、“地域と共に”球磨医療圏の健康長寿を支えていきたいと考えています。

 今後ともご指導ならびにご支援の程、何卒よろしくお願い申し上げます。


2024年6月

球磨郡公立多良木病院企業団 企業長兼院長

髙森啓史

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